希望




976  1リットルのビールを注文すると、片方の靴を質に取られる


コペンハーゲンの夏の風物の一つにチボリ公園があります。

元々は、町を囲んでいた堀があった所だと聞いています。夏の間だけオープンする公園で、中は各種の乗り物や舞台そしてレストランや池があり、植物が生い茂り一大遊園地化していて、ディズニー・ランドよりも遥かに古く19世紀半ばから営業しています。
チボリの名はローマの郊外山間にある、古代ローマ時代からリゾート地として知られた地名であり、中世の時代には名門貴族エステ家の噴水を巧みに演出した庭園が有名でした。
寒い北の国デンマークの人々が、ほんの短い夏の間だけでも暖かい南のチボリの地にあやかりたいと願い名をつけ、皆で楽しく過ごそうと考えて出来たそうで、毎夜の締めくくりは花火を打ち上げています。

そんなチボリ公園の中央入口のすぐ左横に総ガラス張りのレストランがあり、一部は歩道にまでテーブルを出して営業していて、この店がつくる地ビールが評判となっています。
一番大きな1リットル入りの生ビールを注文すると、やがて化学実験室で使うような上下が丸く膨らんでいて、それを繋ぐ管が細くなっている巨大なガラスのビーカーに並々と黄金色のビールが入り、不安定な容器を支える為に木でできた支柱と台にのっかって出てきました。飲む際は、両手で支柱とビーカーの細い胴を同時に持ち上げて口に運ぶようアドバイスが可愛い20前後のウエイトレス嬢からあり、更に靴を片方脱ぐように命令されワラで編んだ履物を替わりに貰いました。飲み乾すまで靴は預かるとのことです。
笑いの乏しくなりがちな北欧の人たちの考えたジョークのようです。

私達は、道を行き交う人たちの好奇の目の対象となり、中には写真を撮らせて欲しいと言う人もあり、ビール瓶のお陰でモデルになる光栄に浴し、大いに食べビールのお替りまでした次第でした。



977  自転車に乗った女の子?傘を差した女の子?


広いコペンハーゲンの市役所前広場の一角に面した建物の角を利用して、2階辺りから6〜7階まで貫く寒暖計が取り付けてあり,目盛は一番下がマイナス20度から始まり一番上はプラス30度まであります。

近くを通る人の目を直ぐに惹きつけるので名物になっていて、最上階の屋上には女の子の人形が天気により現れる仕掛けもあります。晴れれば自転車に乗って出てくるし、雨になれば傘を差しているのだそうですが、よく予報が外れるそうでコペンハーゲン市民は嘘つき女の子と呼んでいて、くちさかない人はコペンハーゲンの女と同じだと陰で囁いているそうです。
私たちの居た時は自転車に乗った女の子の番でしたが、その通り晴れた一日でした。
嘘つきでない女の子さん ありがとう!



978  デンマークの夏至の頃


コペンハーゲンの市役所前広場の一角に、シルクハットを被ったアンデルセンの青銅製の坐像があります。

彼は14歳で首都に出てきて、苦学しながら素晴らしい文学作品を世に問う仕事をしました。
また、国王が才能あるこの青年を見出し、援助したというエピソードも伝わっています。
空港と市内を繋ぐ道には、19世紀末にできたという世界最初のアパート暮らしをする人たちの為の、小さなガーデン(コロニー・ガーデンと呼ばれる)が市によって提供された所があったり、海の中では白い色の風力発電用の風車が何基も回っていたり、緑の土手のあたりでは晴れていれば、オールヌードも見られるという日光浴場となっています。
自動車道や歩道と肩を並べて自転車道が設けられていて、市民の健康と交通の渋滞緩和や公害解消に貢献しています。
自転車に乗る人にも規則が課せられていて、霧など発生し易い土地柄から自転車の前と後ろにはライトを点けることや車輪やペダルにもリフレックス(夜間に照明に反応して光る仕掛け)が付いていなければならないなどとなっています。

そして、夏至の夜は焚き火をして祝う昔ながらの習慣が今も残っていて、チボリ公園でも同様に祝うそうです。日本の魔よけや厄除け、厄払いに相当するもののようです。
また冬至のころは、昼食を済ませると暗くなり始めるそうで、そんな中やはりクリスマスの12月24日の夜を特に祝う楽しみ方となっているそうです。



979  ムーミンはカバではない


ムーミン人形はどこかカバに似ている。

眼が離れていて、ずんぐりむっくりの体型で、おとなしい優しい印象で、見ているだけで癒される気持になるようです。
ムーミンはフィンランド女性作家が考え出した想像上の妖精の一種(北欧独特のトロール)なのだそうで、大人ではないのに同棲していて4人に1人は見かけるフィンランド男性に似た風貌だそうです。
日本のアニメもムーミンの宣伝に貢献が大だったようで、火が付いたようにフィンランドで人気が出ているそうです。
ノルウェーあたりの恐い人相をしているトロール人形よりは、女性に圧倒的に好かれている様子です。



980  タイタニック号よりは大きく,戦艦大和よりは小さい


北欧のバルト海を航行する大型フェリー・シリアラインのセレネーデ号に久しぶりに乗って、フィンランドのヘルシンキからスウェーデンのストックホルムまでの船旅でした。

15年近く前この船が出来立ての頃、評判になっていて、北欧ならではのインテリアの妙を見学する為、専門学校の生徒たちを案内してきたのを懐かしく思い出しました。
夕方の出航ですが、私たちが訪れたのはお昼前後の頃で、静かな船内をエレベーターを昇降しながら12階(デッキ階)から6階(レストランや大型免税店などがある)まで見て回りました。
5万トン近くあるそうで、1912年の処女航海で大西洋に沈んでしまったタイタニック号よりは大きく、戦艦大和よりはひと回り小さいそうですが、聖書に出てくるノアの箱船よりは少し大きいようです。

今も以前と変わることなく人気がある様子で、夏の頃(6月)の一泊の縁でしたが、夕食後プロムナード階(7階)では12階までが吹き抜け空間(アトリウム)になっているのを利用して、何とモスクワからやってきた空中ブランコ・ショーがありました。2人の女性を含む7人の空中アクロバッターたちの'船上のセレネーデ'の舞いに驚かされました。

過って聞いたジョークに、タイタニック号が沈んでいった際に、女性や子供を真っ先にボートに乗せ救出しましたが、男性は後回しになりました。そこで乗り合わせた各国の男性にどのようにして、そのことを伝え説得させるかの話があります。
英国人には、あなたは紳士でしょう!
アメリカ人には、あなたはヒーローになれますよ!
ドイツ人には、規則ですから!
日本人には、みなさんそうしていらっしゃいます!
と言うのが一番効果があるだろうと言われ、笑ったものでしたが、今はそれに中国人が加わってきたそうで、船員が後回しになることを伝えようと捜すと、中国人男性はちゃっかり既にボートに乗っていたというジョークが生まれているそうです。

船内では、中国からの観光客がかなり乗っていて、あちらこちらから中国語がしきりに聞こえていました。





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