希望



516  ナイル河は三本足の巨人に例えられる



ヘロドトスは、'エジプトはナイルの賜物'といいました。

またナイル河を人間の姿に見立てると、頭はデルタ地帯、首がカイロあたり、胴体はその南、足は白ナイル(赤道直下
のビクトリア湖付近)、青ナイル(アビシニア高原あたり)、そしてアトバラ河となるそうです。
青ナイルとアトバラ河が、5〜6月ごろモンスーンにより増水します。デルタ地帯に水が達するのは7月で、10月にかけ
て水位は上昇します。耕地は1〜2米冠水します。11月ごろから次第に水位が下がり始め、6月には最低となります。
新年は7月の半ばで、ナイル河が増水を始めるときでした。このころ丁度、東の空に日の出直前にシリウス星が輝きま
す。エジプト人は1年を12ヶ月(30日ごと)とし、3つの季節に分けました。増水期(7〜10月)、播種期(11〜2月)、収
穫期(3〜6月)です。そのように同じリズムが繰り返されたナイルの賜物により、エジプトは偉大な文明をつくりあげまし
た。
'
太陽の如く永遠に'という言葉をよく使ったエジプト人でした。



517  楽しきはビール苦しきは人生



楽しきはビール、苦しきは人生という言葉を残したのが、5千年前に都市国家を営んだシュメール人です。

現代人と何ら変わらない人達のように思えてきます。古代オリエント世界といえば紀元前3〜4千年前からチグリス。ユ
ーフラテス河のほとりに、さらに南はペルシャ湾、北はアッカド・アッシリアへと続く肥沃な三日月地帯を通り地中海へ、
そしてナイルの賜物と呼ばれたエジプト、東はペルシャなどが浮かびます。
シュメール人,アッカド人、アッシリア人、バビロニア人、エジプト人などが、王,神官、官僚、軍人を支配者層として,都
市は周囲をぐるりと壁で囲み、農業を中心とした、さらに商業の発達により物産が盛んに行き来していました。シュメー
ル語と楔形文字(くさび型文字)がオリエントの文化に多大な影響を与えました。ラテン語がヨーロッパ世界に長い間君
臨したのと同様です。シュメール人が去った後も、長くこの言葉と文字は残りました。古代エジプト人は、ナイルの賜物
(比較的水を管理し易い)により、恵まれた人生が約束されました。生の延長である死後の世界を楽しく過ごせると信
じ、墓に財産を入れ願いを込めました。
一方、チグリス・ユーフラテス河の水の流れは優しくありませんでした。ちょっとでも注意を怠ると洪水になり、氾濫しまし
た。更に外からの敵の侵入も容易でした。また病気の蔓延もしばしばあり、現実の人生ではあまり期待でき難い環境で
した。それだけに宗教指導者、宗教儀式に頼む面が強かったようです。
人は昔も今も変わらないことが感じられます。



 518  忘れられた時をもう一度



ロシアの探検家ブルジュワルスキー,スエーデンのスウェイン・ヘディン,英国のオーレル・スタインなどは19世紀末か
ら20世紀前半に亘り、中央アジアを探検した偉大な人達です。

乾燥した土地に住み、町をつくり生きた人々が、今は砂漠の中に埋もれ消えてしまった自然の恐ろしさを思うと、なおの
こと自然と闘い生きた昔の人々の逞しさを思わざるを得ません。
砂漠や草原の中に点々とあるオアシス、それを結んだ草原の道、絹の道、金の道と呼ばれ、東西文明の橋渡し役を果
たした町や人を思い、彼らが生きた証が百年余り前から,学者たちのチャレンジ(探検、発掘)により、日の目を見たこ
とに感動を覚えます。



519  アラブ馬は汗血馬の改良から生まれた



紀元前100年代に、前漢の武帝の送った西域への使者が張騫です。

匈奴征伐の意図を持ち、大月氏族と手を結ぶ為の旅でしたが、捉われの身となります。しかし、11年目に捕囚を脱し
て大月氏へ達しました。そして13年後に再び中国へ張騫は帰りました。武帝も名君であり、パミール高原の西麓に育
つバダフシャンの馬は、'汗血馬''天馬'と呼ばれ、中国の西域進出の重要な役目を果たしました。
紀元前4世紀の後半に活躍したアレキサンダー大王の名馬'ブケノファルス'もこの地の産です。後日、パミール高原を
制覇したアラビア人により、この地の馬を改良して生まれたのがアラブ馬と云われます。
張騫は西域に関する正確な情報を持ち帰りました。司馬遷の史記により後世に張騫の偉業が伝えられました。



520  ココナツ、オリーブの木に共通するもの



フィリッピンではココナツの木は,舟や衣服、飲み物や食物、そして住居にもなり、さらに子供のための財産と考えられ
ています。

インドネシアではココナツの実は、1年365日の数以上に使い道があると表現します。
南の島や土地に住む人にとっては、生活の主要な役割をココナツは担っています。
一方、オリーブの実は地中海世界では、油として食料として大切にされています。
平和や繁栄のシンボルとしても、古来オリーブの小枝は使われてきました。大変に息の長い木ですので、長年にわたり
実をつけ人々の生活を潤してきました。

ココナツもオリーブも日常生活の身近にあり、安心を与えてくれる植物の代表といえましょう。
  

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