希望




486    現代南米人人種アラカルト



ティティカカ湖誕生伝説を語ってくれたペルー人ガイド、マイティ女史に人種について質問をしました。

ペルーでは、海岸地方には白人も多く住んでいる。しかし内陸(高地やジャングル)には先住民族が多く住み、先住民
族もいろいろ種族に分かれている。そして、混血(白人と先住民族や異なる先住民族間の)も進んでいる。概して、1
0%の白人、30%の先住民族(インディヘナ)そして残りは混血だろうといいます。
ペルーの北隣のエクアドル(赤道直下に位置しているので名がつけられた?)は、ペルーに似ている。但しスケールは
小さい。
内陸のボリビアは、ほぼアイマラ語を話す先住民族で占められています。
チリは、ヨーロッパの国であり、経済はペルーより上と見られている。
アルゼンチンも同様にヨーロッパの国と映ります。
コロンビアは、町には白人が住み、その他の地域は先住民族が住んでいて、混血(メスキータ)はあまりない。
ベネゼイラは、アフリカからやってきた黒人も含めた混血の国となります。
ブラジルは、ブラジル人観光客が着ていたTシャツのロゴの語るとおり、1割の白人、3割の先住民族、そして6割の黒
人から構成されているそうです。
最後に、インカ族は目が吊り上っていて鼻がトウモロコシの実に似ている。頭は縦長だそうです。また、総じて高地帯に
住む先住民族は、体毛(わきの下や足)がなく、口の周りの髭を剃ることもないそうです。
南米の風土により、あるいは500年ほど前のヨーロッパ人による白人支配の開始と共にそれぞれの地域に変化が起
ったようです。



487  健康飲料の広告をやたらに目にする国



1年ぶりにオーストラリアでのワーキング・ホリディを終えて帰ってきた若者は、久しぶりの日本に戸惑いを覚えたそうで
す。

テレビや雑誌そしてバスや電車の中に、やたらと健康飲料の広告が出ていて、疲れを取るために是非にと勧める姿勢
に、改めてこの国のユニークさを知り、驚いたそうです。
のんびりとマイペースで生活するオーストラリアの国の人と比べて、常に緊張を強いられ長時間の勤務に疲れ、少しで
も休める満員電車の中で居眠りをする世代を超えた現象に、癒しとしての健康飲料の登場となっています。
走り続ける日本人の群れの中に戻って、困惑しているようです。



488  マホメットはどんな人?



紀元後570年、サウジアラビアのメッカの地に名門クライシュ族の一員として生まれました。

マホメットの直系の先祖は、聖書の中に登場するスーパーヒーローである、アブラハム(イスラム教ではイブラヒムとい
います)です。マホメットは25歳で結婚します。相手はハディーシャという名の寡婦であり、大商人であり年上の40歳で
した。ハディーシャはマホメットを育み勇気付け,信者1号になりました。
マホメットは40歳のころ神アラーの声を聞き,天使ガブリエルの導きで信仰の道を説き始めました。メッカから北へ200
キロ離れた所にあるオアシス町メディナへ移ったのが622年でイスラム教の始まりで、イスラム暦元年(ヘジラ)となり
ます。
生活と信仰が一体化したウンマと呼ばれる組織をつくりました。メディナの町では、ユダヤ教徒の占める割合が多い
中、630年からはキブラ(礼拝の方角)をエルサレムからメッカのカアバ神殿へと変更します。114章からなる神の言
葉'コーラン'を声を出して音楽的に読み(韻をつけて)祈ります。
ムスリム(信仰者)は5つの行為と6つの信仰を大切にしています。
5つの行為とは、よく知られている通り、信仰告白、1日5回お祈りすること、1年に1ヶ月日中は断食すること、一生に1
度は聖地巡礼すること、そして恵まれない人達に施しを勧めています。
6つの信仰は、神アラーを唯一絶対神として崇めること。霊の体を持つ天使を信じること。4つある啓示の書(モーゼ5
書、ダヴィデの詩篇、イエス伝を書いた福音の4書、コーラン)を神の声として信じます。さらに27人いる預言者を信じ、
これからやってくる最後の審判、そして天命を信じるというものです。
コーランの内容は、メディナとメッカとこの2つの場所を結ぶルートで、神から与えられたメッセイジが最初は韻文で、や
がて散文調に書かれたもののようです。
アラブ人もユダヤ人も人種としては、セム族に属していて、一元論的な生き方、つまり'体と心''信仰と行為'が一致する
のを大切にしています。ギリシャ人と大いに異なるところです。ギリシャ人は二元論的と云われています。



489  自然のエネルギーに満ちた神秘な場所に町づくりをしたインカ人



クスコやマチュピチュを訪ねて思うのは、町の周りを山が囲んでいて、その中に不思議な何かに包まれた霊感を感じる
場所につくられたのではないかということでした。

勿論今では、考古学上の発掘が進み、インカ以前からすでに集落があったことが明らかになっていて,先史人にインス
ピレーションをこういった場所は与えていたと考えられます。
険しい山や谷を越えてやってきて、初めて目にする桃源郷といった印象です。クスコとは、へそという意味だそうです。
インカ人の石でつくった墓の内部空間は、女性の子宮に似ていて、生まれる前の赤ちゃんが母の子宮の中でうずくまっ
ている姿勢で埋葬されている墓が多い(インカ以前も人も)のを見るにつけ、自然の不思議に直結する場所(太陽、雨、
風、雲などが植物の実りをもたらし、神々と交信できる霊に満たされた)を選んで、聖なる町をしっかりとした石組みの
(多角形や四角形、あるいは大小の形の定まらない石や土を使い)家や壁、道をつくりました。特に神殿には見事な石
の設計の才が発揮されました。
子宮の中にいると安心して母親から送られてくる栄養を取り、成長しやがてこの地上に生まれることが出来ることを知
っていたからこそ、その仕組みを生活全体にまで広げて町をつくり、宗教行事も行ったことでしょう。
コカの葉の麻酔性の効用を利用して、外科の手術まで行っていたインカの人達の人体への研究心は、相当なものだっ
たと考えられます。そして、町を取り巻く周辺の山肌を根気強く切り開き、しっかりした石組みの堤を何層にもわたって、
山の上から麓までつくり水を流し、聖なる食物トウモロコシを育てています。切り立った崖の中ほどに、風通しのいい場
所を選んで、収穫した作物を貯蔵した倉庫跡などを見ると、品種改良にまで足を踏み込んで生きていた人達だったこと
が分かります。
土木建築技術の高いレベルに達した人たちであったことは、石切り場が例え遠く離れていても知恵を出し運び,加工し
て紙一枚入る隙間もない石組みをしたことや、外から見えない石の壁の中に入れる土や小石に至るまで注意が行き届
いていて、後日草が生えて隙間が生じないように、しっかり目に見えない部分に入れるものまで高温で焼き加工した上
で、使っていたことから分かります。あるいは、逆に道路の壁や畑の壁に使われた石などは、荒組で雨水や風の力が
程よく通り抜けるように工夫がされています。

古代ギリシャ人は、自然と人との調和が大切と考えましたし、水のある所には植物が育ち、そして文明があると考えた
バビロニア人、アッシリア人、中国人、エジプト人、ローマ人などに共通する考えを実行していたのが、インカ人でした。
谷間から湧き上がってくる霧の中に、小雨に煙る空中都市マチュピチュ遺跡が、浮かび上がりミスティックな雰囲気を
醸していました。



490  ペルーの国旗の意味するもの


国旗は両端が赤色で中央が白色、中央には三つの空間に仕切られたエンブレム(紋章)が描かれています。

赤色は闘争(血)、白色は平和を意味しています。エンブレムの左上部はアンデス山中に住むビクーニャと呼ばれる動
物で高地を表しています。右隣はチンチョーナ(キヌワ)の木が描かれています。ジャングル地帯で多発したマラリア病
の特効薬キニーネが、チンチョーナの木からつくられました。従い、ジャングル地帯(国土の50%)を表すそうです。そ
して下部にはコルビーア(黄金伝説)といい、動物(空想)の角から金が出ている図柄になっています。現在でも金の産
出は世界有数であり、アマゾン河から砂金がでています。

スペインに行くと、首都マドリッドの郊外にチンチョン(チンチョーナ)の町があり、すり鉢状に町ができていて、底にマイ
ヨール広場(闘牛を行っていた)、そして淵へ登る傾斜を利用してクスコで見たような建物が見られます。あるいは、ラ・
マンチャのアルマグロの町もクスコやリマの旧市街の雰囲気を漂わせています。
おそらく、互いに刺激し合い、影響し合ってつくられていったのでしょう。


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